| 京都祇園遁走曲 (文春文庫) | |
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スポーツライターとして有名な著者の、連作短編集。
もう大分前で、私も見てないのですが、NHKドラマ新銀河「京都発・ぼくの旅立ち」(1996年)の原作。
…えっ?
これ。
普通にすんげえ面白いんですけど?
この方、ふつーに作家じゃいけないんですか?あなたそんなにスポーツライターやりたいですかっ!?…そうですか。いやそりゃ残念です。
…というぐらい、面白かったのでした。
いやこの方とは、実はもう10年ほど前、某横浜にあるプロ野球チームの学生モニターをやっていた頃、『ベースボールと野球道』という新書を読んでものすごーく勉強になったという出会いが。その時も、すごい人だなあと思ったんですよ。
ベースボールと野球道―日米間の誤解を示す400の事実
勿論、この方、祇園育ちであります。なので、主人公・新吉の、祇園に対する思いは、ほぼそのまま著者のものと思ってもいいのではないでしょうか。
祇園。色っぽい街。でも、家の中のことまで全部近所に筒抜け。ちょっとつつけば子供の世界にも大人の複雑な事情がどばっ。
はあ祇園って、京都って大変ネエと、ようよう東京に住んで3代目のワタクシですが思うのであります(笑)
ちなみに、ドラマの方の主演は茂山宗彦さん。ということで、一応彼で想像して読みました。今の彼を大分若くすれば何とかイケます(演じたのも21歳の時だしね)。
で、この、新吉のかあいらしいことよ(笑)
祇園の小さな電器屋のぼん。京都を出たくて出たくてその余りとはいえ東大に入るのだから頭はいいのですが、もう鬱屈の塊。時代も鬱屈というかどんよりというか、1970年代、彼が向かおうとしている東大も学園紛争の真っ只中。
彼が東大に合格してから上京の日までの、短い間のお話。
これで京都を出て行ける、なのに、歩く端から次々と、自分がいかに餓鬼であるかを知らされる出来事が。
そのもがく感じ、もどかしさ。背ばかり180センチと高い彼の、細くて長い腕がこう、うにうにぐにぐにする様が目に浮かぶような、いきいきとした描写。
苦くて嫌いで、でも、自分が今まで知っているのはそこだけで、勿論他に同じ場所はない、それが「故郷」。
どんなにとんがってみても、そこで転がされている自分に気づいた時、嫌なのに、愛おしくて、笑いが込み上げてくるようなところ。
せんまい街、なのに物凄くいろんな人がいていろんな事情がある。
そんな彼が愈々東京に行って、故郷と新しい生活をどう擦り合わせていくのか、どんな「大人」になっていくのか、ものすごーく気になる、ほほえましい気持ちになるお話です。













